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就活対策シリーズ〜⑲技術職職種編〜

メーカーの仕事ってなんだ?

業界を知るためにも、今回はメーカーを中心に説明をしたいと思います。

よくある間違いとして理系職=研究職ということです。メーカーに進んだ人が全員研究をしているとは限りません。むしろ少数派の可能性が高いです。今回この記事を読んで理系職⊃研究職であることを知ってほしいです。

 

職種の全体像

理系職は研究開発職、生産職、営業職に分けられます。(「MONO理系版2023」より引用)

研究開発職:新たな製品を開発する、基礎研究から応用研究まで幅広くやることも

生産職:開発された製品の大量生産を行う、工場の生産体制を揃えたり、市場規模を見て生産数を決めたりします。品質を保つ品質保証や原料を調達する資材調達も存在します。

営業職:新製品や自社技術を他社に売り込みます。その際に自社製品の強みやお客様の要望をまとめてお客様が求める製品を提供します。BtoBの場合は扱う製品の規模や数が大きいことから薄利多売ではなく、製品を技術面から理解して売り込むスキルが要求されます。

 

職種の解説

上図の順番で各職種を紹介します!(「MONO理系版2023」より引用)

 
 

研究開発

今ない技術を創り出す。9割の学生が志望するが、地味な職種。

研究開発はどちらも今存在しない技術を相手にします。違いは何でしょうか?それは時間軸です。

研究5年先、10年以上先の革新技術を生み出そうとします。大学の基礎研究のような未知の現象を対象にすることが多く、常温超電導など基礎研究に近いです(大学や国の研究所と共同でやる場合も)。

開発できることがわかっている技術を対象とします。自動車のEV化や自動運転などが近いです。

理系学生は何となく「研究開発」を志望しますが、入社後に研究開発の部署に配属されることは少ないです。

理由は以下の通りです。

  1. 学部卒・修士卒では企業の技術水準から遠い
  2. 新入社員はエンジニアとして未熟

また、研究開発部は花形というより地味な仕事が多いです。データ解析、シミュレーションの実験などコンピュータと過ごす時間が多くなります。

 

設計

メーカーの成長を支える、コンセプトが大事。

メーカーの理系職で最も大きな責任を背負っているのが設計エンジニアです。特に家電や自動車など、一般の消費者が買う製品を作っているメーカーでは花形と言えます。良い製品は売れて利益にもなりますし、社員の給料やモチベーションを上げ、メーカーは成長します。

ただ、設計と言ってもとても広いです。自動車ではボディデザインのほかに、排気音や振動、内装なども含まれます。ガソリン車やハイブリッド、EVではそれぞれ設計思想が異なります。何万もの部品の一つ一つを設計しています。

iPhoneが革命的だったのは、指でタッチして操作するコンセプトです。機能や外観以上の革新さがコンセプトにあります。

 

品質管理

あらゆる製造業で重視される、歩留まりの向上。

メーカーの使命は革新的な製品の開発よりも品質維持にあります。いくら性能の良いスマホを作っても、爆発しては売れるわけがありません。故障しないこと、長寿命も品質の一部です。

開発や設計での品質はこういう性能を意味しますが、工場での品質歩留まりを指すことが多いです。歩留まりとは、製造業で重視される概念で良品率の意味です。簡単にいうと、不良品の割合を減らすことです。不良品の数を減らし、できれば全て良品にするのが「歩留まりの向上」です。

不良の原因は材料かもしれませんし、設計に無理があったかもしれませんし、工場ラインに不具合が…。開発、設計、生産のいずれかに原因があるのかはっきりしないので、品質管理部署を横断して不良の改善を行います。多くの部署に関われるのが面白みといったところでしょうか。

 

生産・製造

不具合の原因特定は探偵小説の犯人捜しに似ている。

生産の仕事は、工場でのラインでの業務というイメージでしょう。それは誤解です。生産ラインの仕事は派遣工などの期間工が大半で、新卒社員ではありません。

生産エンジニアは生産ラインの監督者です。ラインが止まらないように機械の調子をチェックしたり、生産計画に基づいて製造します。

加工が微細で工程が複雑な半導体の歩留まりは、最初は数割程度だそうです(数割しか良品ができない)。生産エンジニアが工夫して、5割、7割と上げていきます。不具合の原因解明を「探偵小説の犯人捜し」と比喩しましたが、創造的で面白い仕事です。

 

調達

世界一の Just In Time 生産システムを支える。

製造には材料や部品が不可欠で、製造業では調達という言葉を使います。工場の生産計画で最も大事なのがこの調達です。高い品質安い価格、そして安定供給を支えます(=サプライチェーン)。

日本の生産技術は世界一と言われる理由の一つが、Just In Timeという生産システムです。こういうスケジュール管理も調達エンジニアの仕事で、効率の良い生産体制を支えています。

 

設備開発

工場と生産設備の稼働を支える。

生産ラインを動かすには工場という巨大な生き物にエネルギーを与え、生産設備が円滑に稼働するように監視し、必要なメンテナンスを施す必要があります。それらすべてを担当するのが設備エンジニアです。

業種によって扱う設備が変わりますが、工場内の変電設備やコンプレッサなどのパワー系、化学薬品を処理する処理槽設備など、重要なものであることに変わりはありません。震災時の対応などすることもあり、ITシステムでの監視などネットワークの監視・保守・運用設備エンジニアと言えます。

 

フィールドエンジニア

製造装置の設置、テスト稼働などを担当。

産業機械はマザーマシンと呼ばれる製造装置のことを指します。最先端の半導体製造装置の中には数億、数十億のものもあります。こういう装置はメーカーが製造装置メーカーに発注して、その仕様に基づいて装置メーカーが製造して納品します。

何トンもの装置の設置にはノウハウが求められ、最初に電源を入れるときにも注意が必要です。そこで総理メーカーからフィールドエンジニアが客先に行って、設置やテスト稼働などを担当します。

 

知財・法務

重要性を増す知財・法務で求められる理系人材。

モノづくり企業を悩ますのが特許です。自社の特許を守りながら、競合他社からの提訴にも備えなくてはなりません。

したがって、知財・法務の重要性は増すばかりです。従来は法学部出身者が多かったのですが、現在は高度化した技術を理解する必要性があるので理系人材も増えつつあります。ただし、新入社員が配属されることはまれです。研究開発を担当して特許出願などの実務を経験し、その後に知財の専門家として配属されることが多いです。

 

技術営業

技術知識をベースに企画提案するコンサルタント。

技術営業職は誤解されやすく曖昧な職種です。コピー機のメンテナンスをしながら注文を取るセールスマンと同じものだと思っている人もいます。それは間違いです。

技術営業職はサービスやモノを売る営業職ではない。世界各国を飛び回り、技術という側面からアプローチして現場の営業他、会社全体とお客様を結び付ける仕事です。いわば通訳のようなものです。

例えば自動車用MCU(マイクロコントロールユニット)なら、自動車メーカーイン新しいMCUの使い方を提案して、新車開発のMCU側のプロジェクトマネジメントを行うのが技術営業職です。ややコンサルタントに近い職種です。見積、売掛金の回収をするのは別の営業職です。

 

ITエンジニア(SIer)

ITシステムを構築、運用する。

情報システムを構築、運用するのがITエンジニアです。ITエンジニアは他の職種と異なり、職業として精密に定義されています。経産省が定めたITSS(ITスキル標準)です。難易度の高い資格を持つITエンジニアは重宝されます。

主な仕事として、プロジェクトの受注前には営業とともに案件のヒアリングとシステム企画を担当します。受注後は、プロジェクトマネージャーと協力して開発進捗を監督します。納品後の運用にも関わることが多く、人と会っていることが多い仕事です。

通信・情報業界はあらゆる産業で必須のインフラ技術ゆえに、SIerも業務に幅があります。通信インフラ通信ネットワーク機器、システムを構築するITサービスなどです。

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