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就活対策シリーズ〜⑦ES編〜

「あなたが学生時代に頑張ったことを教えてください。」

これは、就職活動をしていると一番見かける質問で「ガクチカ」と略されます。そのほかにも「あなたが大切にしていることを教えてください」など、書こうと思って手が止まった人のためのES(エントリーシート)の書き方講座です。

本記事では、『ESで問われていること』、『事前にやっておくこと』、ESで重視される『論理的に文章を書く方法』を解説し、具体例を挙げます。

 

なぜ企業はESを書かせるの?

ESでは名前や学校、資格だけでなく、上で挙げたような”書かせる”質問が必ずあります。このような質問をする目的は主に2つです。

1つは足切りです。仕事をする上では文章を書くことは必須なので、聞かれたことに対して論理的で説得力のある文章を書くことができることは必要最低限の能力といえます。”書かせる”質問は論理性を手軽に確認することができます。また、優秀な学生であっても志望度が低い学生は内定辞退する可能性が高いため、企業が求める人物像と就活生の志向が異なる場合はミスマッチを避けるために事前に足切りがなされます

2つ目は就活生の情報を面接前に得ることです。ESを通過すると次に面接が行われます。多くの場合、ESに書いた内容を基に質問が用意され、パーソナリティを深堀りすることによって、企業とのマッチ度や入社後に活躍できそうかなどが確認されます。

 

ESを書くうえで大切なこと

上記の2つの目的を踏まえると、ESを書く上で大切なことは以下の3つに集約されます。

  • 自己分析を丁寧に行って深堀に対応できるエピソードを書く
  • 論理的に文章を書く
  • 企業が求める人物であるとアピールする
 
 

【要注意】いきなり書き出すのは危険

「私が学生時代に力を入れたことは・・・」といきなり書き出すのは、すぐに書くことが思い浮かんだ人も、そうでない人も結果的に遠回りになります。書き出す前に、次の3つのことを分析しておきましょう。

  1. 企業が求める人物像
  2. 自分がアピールすること
  3. 具体的に盛り込むエピソード

前述の通り、ESで足切りに合わないためには企業が求める人物像にESでアピールしていることが当てはまることが必要条件です。そのためには、企業が求める人物像がどのようなものなのかを調査してみましょう。最低限の情報収集として応募する企業HPの採用情報ページを見てみてください。多くの企業で求める人物像、人材像などが書かれています。

次に企業が求める人物像がわかったら、それに沿って自分がアピールすることを決めていきます。こちらは自己分析によって達成されます。400字など文字数の制限があることがほとんどなので、内容が薄くならないようにアピールポイントは1つに絞りましょう。

最後に自分がアピールすることを裏付けるエピソードを選定しましょう。最も確実に説得力のあるESにする方法は具体的な経験や体験、きっかけを入れることです。ただし、華々しい実績を並べ立てるのではなく、堅実なエピソードであっても自分がどのように考えてなぜそう行動したのかが明確なものを選びましょう。

面接官に会いたいと思わせるためには感情が見えるエピソードであることが望ましいです。また、自分のアピールポイントと一致しているかということも確認してください。また、面接時に深堀をされるので過度な脚色は絶対にNGです。

 

意識したいESの”型”

3つの分析が終わればいよいよ書き出すことになります。ESで求められる必要条件の1つである論理性のある文章は、ESの型と言えるSTAR法PREP法を意識することで書くことができます。

STAR法

自分の行動、経験について説明するときに有効な”型”です。ガクチカ研究などを書く時に向いています。4つのまとまりに分けて文章を書きます。

  1. Situation : 結論と概要や状況を述べる。具体的なシーンを伝えることが重要。
  2. Target & Task : 課題・目標をその理由を含めて説明。
  3. Action : 目標・課題達成のための行動を必然性と共に定量的に述べる。
  4. Result : 行動の結果と成果、変わったことや追加の学びなどを述べる。

※Target & Task の必然性はその行動が最善であり、それ以外ではない理由を入れます。

 
 

PREP法

自分の考えや志向などを主張するときに有効な”型”です。志望動機自分が大切にしていることなどを書く時に向いています。こちらも、4つのまとまりに分けて文章を書きます。

  1. Point : 結論や主張を述べ、ポイントを読み手に知らせる。
  2. Reason : 理由となるエピソードを述べる。結論との飛躍がないことが重要。
  3. Example : 抽象的な主張を具体化する。定量的であることが望ましい。
  4. Point : 具体例から本論に戻って再び抽象化しまとめ、昇華させる。
 
 

STAR法、PREP法どちらであっても、3番目の内容が説得力のある文章になるかが分岐点です。従って、文字数的にもボリュームを持たせるべき部分になります。実際に自分のとった行動や、考えたことが伝わるように具体的にしましょう。特に、PREP法のExampleでは自分の過去の経験、原体験からエピソードを選出できると良いです。

また、文章全体を通して面接官に共通のイメージを持ってもらうため、数値を含めるなどできるだけ定量的に書くことが望ましいです。しかし、定性的であっても人からの意見など客観性があれば共通イメージを持ってもらうことができます。

 

3Stepで書く

ESの”型’’を意識して書き出します。3Stepで書くのがおすすめです。

Step1 : 各まとまりで箇条書き

エピソードをしっかり選んでいても、Target & Task や Reason がまとまっていないことがよくあります。まずは各まとまりで箇条書きしてみてください。論理の飛躍がないか、結論とエピソードがズレていないかなどをチェックしてみてください。

 

Step2 : 下書き

箇条書きで内容がまとまったら、文章化します。まずは文字数を気にする必要はありません。必要と思える内容を全て文章にします。文体は「です・ます調」、「だ・である調」どちらでも構いません。一般的に「です・ます調」は丁寧な印象になり、「だ・である調」は簡潔で文字数を節約できます。

 

Step3 : 推敲&清書

最後に推敲をします。オーバーした文字数を確認して、重複・要らない単語・文を削っていきます。また、より簡潔な類似の表現がないかなども調べて下さい。その他にも、「ら」、「い」抜き言葉がないか二重表現がないか、口語の表現がないか、句読点の位置に違和感がないか、毎回同じ文末で単調になっていないかなどを確認します。超えるのは厳禁ですが、指定文字数の9割以上になるようにしましょう。また、400字程度の文書では2段落程度に分けることを推奨します。

 
 

書き終わったら

必ず友達や家族、メンターに一読してもらい、論理の飛躍がないか、自分がアピールしたいことが読み取れるか聞いてみて下さい。自分でも分析した企業の強みと自分のアピールが一致しているか、深堀された時に答えられるかなどを今一度確認しましょう。文書に盛り込まなかった内容についても面接で話す機会に備えて整理、矛盾が無いように準備します。また、面接に備えてそれぞれのまとまりの要点は頭の中に入れておきます。面接では対話することが重要なので丸暗記するのはNGです。

 

具体例

ガクチカ(400文字)

事前の分析

企業が求める人物像

仲間と力をあわせて何かを成し遂げることに喜びを見出せる人

自分がアピールすること

課題に対して周りの意見を折衝して解決策を見出すことができる人

具体的に盛り込むエピソード

アルバイトでの業務改善

 

3step で書く

Step1 : 各まとまりで箇条書き

◆ Situation

  • 塾講師のアルバイトの業務改善
  • アルバイト講師から授業終了後の報告書に関して不満

◆ Target & Task

  • 時間がかかる
  • 給与が固定で労力と見合わない
  • この紙を見ながら社員さんに報告するため、二度手間
  • 報告の待ち時間が発生

◆ Action

  • 相談会をした
  • 必ず報告して欲しいことを確認
  • 口頭の報告は不必要な生徒もいる
  • 追加の給与は出しにくい
  • 報告書を改善してチェックリスト化
  • 重み付けをして口頭報告と文書報告を分けた

◆ Result

  • 報告書を書く時間が短くなった
  • 報告の待ち時間が大幅に短縮された
 
Step2 : 下書き

◆ Situation

塾講師アルバイトの業務改善だ。アルバイト講師から授業後の報告書に関して不満が出ていた。講師が快適に働くことが、生徒への価値提供の向上につながると考え、解決するため彼らに話を聞いた。

◆ Target & Task

すると1.時間に対し給与が固定で労力と見合わない。2.報告書を見ながら社員に報告するため二度手間であり、さらに報告の待ち時間も発生する。という2点が問題だと分かった。

◆ Action

そこで社員・講師で相談の場を設け、新たな報告方法を提案した。具体的には、報告すべき事項を列挙したチェックリストを作成し、全てにチェックが付いた場合はそのリスト用紙のみを社員に提出、チェックが付かない物がある場合は口頭で報告をするという形である。

◆ Result

この結果、報告書作成時間が大幅に短縮、さらに報告すべき事項が明確になり待ち時間も減少した。互いに対立するように見える要求であってもその理由を聞き妥協点を探ることで互いに納得できる方法を作れると学んだ。

 
Step3 : 推敲&清書

◆ Situation

塾講師アルバイトの業務改善だ。アルバイト講師から授業後の報告書に関して不満が出ていた。講師が快適に働くことが、生徒への価値提供の向上につながると考え、解決するため彼らに話を聞いた。

◆ Target / Task

すると1.時間に対し給与が固定で労力と見合わない。2.報告書を見ながら社員に報告するため二度手間であり、さらに報告の待ち時間も発生する。という2点が問題だと分かった。

◆ Action

そこで社員・講師で相談の場を設け、新たな報告方法を提案した。具体的には、報告すべき事項を列挙したチェックリストを作成し、全てにチェックが付いた場合はそのリスト用紙のみを社員に提出、チェックが付かない物がある場合は口頭で報告をするという形である。

◆ Result

この結果、報告書作成時間が大幅に短縮、さらに報告すべき事項が明確になり待ち時間も減少した。互いに対立するように見える要求であってもその理由を聞き妥協点を探ることで互いに納得できる方法を作れると学んだ。

 

自分が大事にしていること(300文字)

事前の分析

◆ 企業が求める人物像

仲間と力をあわせて何かを成し遂げることに喜びを見出せる人

◆ 自分がアピールすること

周りとのコミュニケーションを大切にし、信頼関係が気づくことができる

◆ 具体的に盛り込むエピソード

学習塾の指導員のアルバイト

 

3step で書く

Step1 : 各まとまりで箇条書き

◆ Point

  • 人の変化に気が付くことができる
  • それを言葉にして伝えている

◆ Reason

  • 人との距離を縮める方法として簡単にできる
  • 距離を縮める方法として強力な手段

◆ Example

  • 小学校低学年が通う学習塾のアルバイト
  • 子どもたちと仲良くなることに苦戦していた
  • 子どもたちの小さな変化を伝えた
    • 新しい靴
    • 100マス計算のタイムが短くなった
  • 子ども達と信頼関係を構築できた
  • おかげで優秀講師として表彰された

◆ Point

  • 社会に出てより多くの人と関わる中で、小さな変化も見逃さずに相手に伝えていく
 
Step2 : 下書き

Point

私が大事にしていることは、他人の小さな変化に気がつくことと、気がついた時に必ず言葉にして伝えることです。

Reason

理由は人の距離を縮める方法として非常に簡単にできること、またとても強力な手段だと考えているからです。

Example

大学の学部時代に小学校の低学年が通う学習塾のアルバイトで指導員をしていました。最初は小学生の子ども達と仲良くなることに苦戦していました。しかし、子ども達の小さな変化に気がつき、必ず伝えることを徹底しました。例えば、新しい靴を履いてきたことや100マス計算のタイムが5秒短くなったことなどです。結果として子ども達との信頼関係を構築することができました。また、優秀講師として表彰されるという経験もできました。

Point

これからの人生で、社会人としてより多くの人と関わるなかで、小さな変化を見逃さずに相手に伝えることを大事にしていきたいと考えています。

 
Step3 : 推敲&清書

Point

私が大事にしていることは、人の小さな変化に気づいた時、必ず言葉にして伝えることです。

Reason

理由は、人との距離を縮めるのに簡単かつ強力な手段だと考えているからです。

Example

学部時代にしていた低学年向けの学習塾での指導員のアルバイトで、最初は子ども達と仲良くなることに苦戦していました。しかし、子ども達の小さな変化、例えば、新しい靴を履いてきたことや100マス計算のタイムが5秒短くなったことなどを必ず伝えることを徹底しました。結果、子ども達と信頼関係を構築でき優秀講師として表彰される経験もできました。

Point

これからの人生でも、多くの人と関わる中で些細な変化を見逃さず相手に伝えることを大事にしていきたいと考えています。

 

ESの書き方・まとめ

ESでは、

  • 自己分析を丁寧に行って深堀に対応できるエピソードを書く
  • 論理的文章を書く
  • 企業が求める人物像をアピールする

を達成するため、

  • 企業が求める人物像
  • 自分がアピールすること
  • 具体的に盛り込むエピソード

を分析します。次にSTAR法、PREP法どちらで書くかを決め、

Step1 : 各まとまりで箇条書き

Step2 : 下書き

Step3 : 推敲 & 清書

で本文を書きます。最後に、友人や家族、メンターにチェックしてもらうとともに面接の準備をします。

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