今回は技術職志望の方が気になる、技術面接対策に関してお話ししていきます!
はじめに
研究職や開発職などの技術系職種を志望する学生の場合、自分の研究に関連する内容だけを聞かれる技術面接を突破する必要があります。
技術面接というと、どちらも研究内容を発表する場であることから「学会発表と似たような感じ?」と思う方も少なくありませんが、全く違います。
この記事では技術面接とはどんな選考なのかという説明から、その対策法まで解説していきます。
学会での発表を経験しているからと慢心せず、技術面接に向けた対策もしっかりと行いましょう!
技術面接とは
技術面接の目的は、学生がこれまでの研究から得たスキル・経験を確認することで、企業の研究職として求められる要素を備えているかどうか判断することです。
特にチェックされているポイントとして以下の5つが挙げられます。
① プレゼンテーション能力
② 課題解決力
③ 論理的思考力
④ 計画性
⑤ コミュニケーション能力
① プレゼンテーション能力
技術面接では最初に、5~10分程度の指定の時間内にパワーポイントなどを使って研究内容の発表を求められます。まず評価されるのはこの際のプレゼン能力です。
技術面接における面接官は、企業の研究職などとして働いている技術系社員が務めます。そのため、ある程度背景となる技術的な知識は持ち合わせていますが、自分の研究分野に精通した社員が面接官となることはあまりありません。これが学会発表と大きく異なる点の1つです。(例:自分は有機化学が専門だが面接官は無機化学が専門、など)
限られた時間内に、専門外の人にも分かりやすい説明ができるかどうか、スライドの構成や発表内容から評価されます。
② 課題解決力
技術系職種につく上で求められる能力のうち、代表的なものが課題解決力です。皆さんも実際に研究をしているのでよくお分かりだと思いますが、研究は成果が出るまでスムーズに進むことは少なく、途中で何か課題に直面することが大半です。
新規性があれば評価される大学の研究とは異なり、企業の研究ではコストパフォーマンス、安全性、法令遵守など、開発した技術を世に送り出すまでに越えなければならないハードルが非常に多いため、自ら課題を解決し自走できる人材が求められています。
研究の中で課題に直面し、それを解決した経験を論理的に説明しましょう。
③ 論理的思考力
課題解決力と並んで求められる能力が論理的思考力です。過去の事例や結果から論理的に考察し、次のステップを考えることが、効率的に研究を進めるために必要不可欠な要素です。
この論理的思考力は質問への返答から多く判断されます。
「なぜその手法を選択したのか」「なぜこの結果が得られたのか」「失敗した理由はなぜか」
など「なぜ」に対する解答に論理的に答えられるように準備しておきましょう。
④ 計画性
研究を計画的に進めているかどうかも重要な要素です。大学の研究では研究を完遂するまでの明確な締め切りはないことが大半ですが、企業での研究では、顧客が存在するため納期という明確な締め切りが存在します。
そのため、日々の研究もスケジュールを管理してしっかりと計画を立てて行っている人の方が、企業にとってより魅力的な人材となります。
⑤ コミュニケーション能力
最後に重要視される能力はコミュニケーション能力です。大学での研究はチームで行っている人もいますが、個別のテーマを与えられて1人で行っている人もいます。対して、企業では1つの大きなテーマの達成を目指してチーム単位で行動することが基本です。
そのため、チーム内の人と協調性をもって研究を進めることができるかが重視されます。また、将来的にリーダーとなって研究を主導できるようなリーダーシップがあるか、後輩へ適切に指導することができるかなども、研究室内の人間関係に関する質問から確認されます。
技術面接で対策すべきポイント
① 分かりやすい発表にする
一番最初に対策すべきポイントは研究発表についてです。専門外の面接官にも分かりやすいように、専門用語をなるべく少なくし、一般的な表現に落とし込んだスライドを用意しましょう。学会発表のスライドは専門的な内容すぎるので基本的に流用できません。
特に、研究の背景や新規性については、誰が聞いてもすんなりと理解できるレベルまでかみ砕いて説明しましょう。この部分が面接官に伝わらないと、そのあと研究で取り組んだことを一生懸命説明しても面接官は理解できません。
スライドを作成する際には、表紙を除いて1スライド1分程度の発表時間を目安に作りましょう。研究内容全てを説明しようとする必要はありません。自分の能力(課題解決力、論理的思考力)が一番アピールできる内容を特に詳しく説明しましょう。
私は 表紙 1枚 + 研究背景・コンセプト説明 2枚 + 研究内容 7枚 + 総括・今後の展望 1枚 の計11枚のスライドで10分の発表を行いました。
また、研究発表では研究から学んだことや得た能力についてもスライドに記載してアピールしましょう。技術面接は学会発表のように成果を報告する場ではなく、自分が研究を遂行できる人間であることをわかってもらう選考の場です。
研究の内容だけでなく、自分が身に着けた力についてもきちんと発表中に組み込み自己PRに繋げましょう。
スライドが完成したら、必ず他の人に見せてアドバイスをもらいましょう。研究室の先輩でも良いですが、一番おすすめなのは専攻が同じでも研究内容が異なる別の研究室の人に見てもらうことです。(例:化学専攻は同じだが研究室が有機系、物理化学系で異なる)
スライドだけでなく、原稿も準備でき次第他の人に見せて分かりにくい点がないかコメントをもらいましょう。
② 質問対策を徹底的に行う
想定質問に対する解答をしっかりと用意しておきましょう。技術面接で質問される内容は多岐に渡りますが、専門的な質問以外は前項で説明した②~⑤の能力が備わっているかどうかを確認するものがほとんどです。
専門的な質問に対しての解答については、学会発表と同レベルの対策ができていれば十分です。加えて、普段研究で使っている機器や器具、実験の原理について問われることもあるので、今一度確認し答えられるようにしておきましょう。
②の課題解決力に関しては、以下の2つのような質問がよく聞かれます。
- 「研究で一番大変だったことはなんですか?」
- 「大変だったことをどのように乗り越えましたか?」
自分の研究で一番困難だったことを、その難しさが分かるように説明しましょう。また、乗り越え方については解決策を思いつくまでの思考のプロセスを論理的に説明しましょう。
③の論理的思考力については、前項でも説明したように「なぜ?」に対する解答を用意しておくことが重要です。
- 「なぜ今の研究室を選んだのですか?」
- 「なぜこのテーマを選んだのですか?」
- 「なぜこの手法を選択したのですか?」
- 「なぜこの結果が得られたのですか?」
- 「なぜ博士課程に進学せず、企業の研究職を志望しているのですか?」
研究に直結する内容だけでなく、最後の質問のように企業の研究職を志望する理由に関しても技術面接では問われます。事前にしっかりと用意しておきましょう。
④の計画性について判断するために、普段の研究のスケジュール管理についてや、今後の研究の展望について質問されます。
- 「普段の研究の進捗の管理はどうやっていますか?」
- 「進捗が遅れた場合はどう対応しますか?」
- 「研究の最終的なゴールはどこですか?」
- 「ゴールに対して現在の研究の進捗は何%くらいですか?」
- 「卒業までにゴールを達成できると思いますか?そのためにどのような計画を立てていますか?」
- 「この研究から今後どういった応用を考えていますか?」
正直普段意識することが少ない質問内容だと思いますが、短期的には研究室内での報告会、長期的には修論の中間発表など、スケジュールの目安となる期限はあるはずなので、それに向けてなんとなく普段意識していることを掘り起こして言語化できるようにしておきましょう。
⑤のコミュニケーション能力については、研究室内での人間関係に関する質問から判断されます。
- 「研究は1人で行っていますか?チームで行っていますか?」
- 「研究室で一番頼りにしているのは誰ですか?」
- 「研究がうまくいかない時には誰に相談しますか?」
- 「後輩への指導経験はありますか?」
- 「研究をする上で他の人と関わる際に意識していることを教えてください」
基本的に1人で研究を行っている人も、先生や先輩に相談する機会はあるはずなので、その際に意識していることを答えましょう。
③ 背伸びしすぎず正直に答える
ある程度自分の研究を良く見せることは必要ですが、真っ赤な嘘をつくことはやめましょう。
主体的に取り組んだ姿勢を見せるために、先生からアドバイスをもらった内容を自分で考えたように発表するなどの背伸びはよくあります。(というか誰でもやっていると思います)
しかし、専門的な質問をされた際に、適当に答えてしまうと後で矛盾が生じて自分の首を締めることになりかねません。相手は実際に現場で技術職として働いている専門家です。適当な解答はばれます。
分からない質問に関しては素直に現時点では分からないというか、あくまでも自分の考察にすぎないと前置きして自分の予想を答えましょう。
また、研究テーマに関しても自分で選んでおらず先生から与えられたのに、自分で選んだというような嘘はつく必要はありません。
終わりに
本記事では技術面接とは何か、一般的な対策について解説しました。
色々な対策を述べましたが、一番重要な対策は普段から真面目に研究に取り組むことです。
普段からしっかりと研究しているのであれば、面接の場で正しくその努力を伝えるだけです。全く心配する必要はありません。
本記事を参考に、技術面接への対策をしっかりと固めていきましょう!
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